012号(2026/04/01)
寄稿記事
巻頭言:技術書典 20に出展いたします!
書いた人:しょっさん( @syossan27 )
サークル「SRE Kaigi」として技術書典 20に出展いたします!ということでどういった本を出展するのか?などを紹介させていただきます。
SLOベースの監視は廃れるのか
書いた人:iwamot( @iwamot )
SLOベースの監視はデファクトスタンダードですが、Google SRE自身がその限界を指摘しています。代替案として提唱された「2σテクニック」の仕組みと、提唱から数年経った現状を整理しました。
国内外のSRE記事
Blameless Postmortems That Actually Change Behavior
エンジニアリングリーダー向けの実践フレームワークを発信するThe Art of CTOによる記事です。 ポストモーテムが形骸化する根本的な原因を「リマインダーしか生み出せていないから」と断じ、アクションアイテムにowner・期日・検証方法を必須化することで「デフォルトの変更」を生み出す実践論を論じています。 「気をつけろではなく、コードと同じPRフローを強制して自動バリデーションを追加すること」など具体例が豊富で、ポストモーテム文化を儀式から仕組みへと昇華させるためのヒントが詰まっています。
Why Modern Systems Need a New Reliability Model
NOFire.ai CEOのSpiros Economakis氏による記事です。 Observability・AIOps・Chaos Engineering・RCAの全てが「シグナルの観測」止まりで「振る舞いの理解」に届いていないという根本的な限界を指摘し、次世代の信頼性モデルの必要性を論じています。 コード変更・インフラ挙動・サービス相互作用を統一したモデルで接続し、デプロイ前にリスクを顕在化させることが次の段階だという主張は、SREとして「次に何をすべきか」を考えるきっかけを与えてくれます。
On variability
Netflix・Honeycomb等での実務経験を持ち、複雑系とインシデントをテーマにSurfing Complexityを執筆するLorin Hochstein氏による記事です。 旧来の安全観では「人間の変動性=事故の源」とされていましたが、安全工学の視点ではむしろ人間が状況に応じて変動的に対応できることこそが複雑なシステムを支える強みだと反転させています。 さらに「LLMも意図的に変動性を持つ設計がされている」という比較まで踏み込んでおり、AI時代のSREの役割を考える上で新鮮な視点を提供してくれる記事です。
Decompensation and Cascading Failures
Resilience in Software財団の寄稿として、分散システムとレジリエンスの専門家であるFred Hebert氏が執筆した記事です。 「Compensation(代償作用)」というメカニズムを中心に、システムが部分的な障害に対して自律的に補正しながらも、そのメカニズム自体が突然の崩壊、連鎖的崩壊(カスケード障害)を引き起こす逆説を丁寧に解説しています。 インシデント分析・SLO設計・Chaos EngieeringなどSREのいずれの文脈にも接続できる基礎概念として、「なぜあのシステムは急に壊れたのか」という問いへの一つの答えが示されています。
Practical Considerations for AI Incident Reviews
ソフトウェアエンジニアのFischer氏がfgj.codesで公開し、SRE Weekly #509でも取り上げられた記事です。 「インシデントレビューは本質的にソーシャルテクニカルなプロセスであり、人々が能動的に関与しなければ何の価値もない」という一点を軸に、LLMにインシデントレビューを書かせることで失われるものを論じています。 AI後処理への安易な依存が広まりつつある中で、「今作業を自動化することで本当に得たかったものが失われていないか?」と問い直す機会を与えてくれる記事です。
MIXI SRE Topics Monthly 2026-01 号
MIXIの開発本部CTO室でPlatform Engineerを務めるi2tsuki氏が執筆した、社内SRE共有会の内容を外部発信する新連載の第1回です。 AI×SREの議論として「いきなり万能エージェントを目指すより、作業をSKILL(スキル)として部品化して整理していく方が現実的では?」という現場の声が記録されており、海外の「Agentic SRE」論とは温度感の違う国内の実感値として面白い記事になっています。
SRE Kaigi 2026 参加レポート 〜SRE活動を通して見つけた、次世代CRE組織の在り方〜
マネーフォワードのGuardianグループでリーダーを務めるtosite氏による、SRE Kaigi 2026の参加レポートです。 「SREはCREの延長線上にあるのか、別物なのか」を確かめに行ったという視点が軸になっており、「SREは魂」という結論に至るまでの気づきが読み物として面白いです。 「SREは役職ではなく魂である」という気づきを軸に、CREという立場からでもSREのプラクティスを実践できるという発見、身近なところからSREプラクティスを実践することが書かれており、読み応えのある記事となっています。